最近ニュースで取り上げられていたビックコミックスピリッツに連載の『美味しんぼ』ですが、今回の「鼻血」騒動を受けて大きな波紋を生みました。以前から決まっていたという事ですが、『美味しんぼ』は休載という形を取られました。漫画で描かれている福島や放射能というデリケートな部分は非常に難しく重いテーマであったと思います。
『美味しんぼ』は、僕が小中学生の時の夏休みのアニメはもちろんのこと、単行本も17、18年前から集めて1巻~100数巻まで持っています。
今回、掲載された後半部分の「福島の真実」についても、雁屋氏自体が、非常に緻密な取材に基づいて描いているという意見を述べられているということですが、その反面、この漫画の内容について反論をされている方のコメントの多くは、放射能による低線量被爆によって鼻血が出る因果関係はなく、風評被害を煽っていると述べられています。
今回騒動となった『美味しんぼ』の「福島の真実」が掲載されているビックコミックスピリッツは残念ながら3週分とも入手が出来ずに、どのような内容が描かれているのか分かりませんでした。従って、報道されている、主人公である山岡士朗が福島第一原発に取材に行ったことで鼻血が出るというシーンしか分かりません。
福島の真実の前半が描かれている単行本110巻は買えました。
僕自身、放射能による低線量被爆をした経験もなく、生まれてから34年間鼻血を出した経験すらないという鼻を持っているので放射能と鼻血の因果関係については何とも言えません。しかしながら、何ミリシーベルト以下であれば人体への影響はないという意見については違和感を感じます。
放射線について僕自身が無知であるので次のたとえは滑稽かもしれませんが、僕自身がスギ、ヒノキの花粉症です。影響の無い方には全く症状が出ず、極めて酷い方にはつらい症状がでます。また、卵やそばなどのアレルギー物質を持っている方も同様です。お酒が一滴も飲めない人とお酒に強い人にも当然個人差はあります。
従って、これ以下なら、低線量被爆であれば鼻血は出ないし鼻血が出ることはありえないという意見については「なんで言い切れるの?」と思ってしまいます。その一方で鼻血が出たということとそれを放射線の影響であるかのような表現もまたきわどく、実際のところどの程度の人が鼻血を出しているのか分かりません。僕の子どももたまに鼻血を出しますが、のぼせたことによる事かもしれませんし、鼻をほじって粘膜が傷ついた結果かも知れません。
実際問題、何が問題で何が問題でないのか、何が安全で何が安全でないのか分かりません。低線量被爆による白血病や甲状腺癌、DNAへのダメージを及ぼすことによるその他の癌の発生リスクよりも、PM2.5などの有害物質の吸引による肺癌の発生率の方が多そうな気がします。また、喫煙による肺や咽頭への癌の発生による死亡者数の方が、圧倒的に多いと言い切れそうです。
今回の騒動については、鼻血という騒動になる部分というか、問題となる部分の報道や描写がほとんどです。しかしながら、人生の半分近く『美味しんぼ』を読み続けている僕の意見としては、この漫画は、問題提起をして、それに対しての解決方法や今後の方向性などもきちんと明確にされている漫画ではないかと思います。鼻血が出るというシーンのみばかりが強烈に取り上げられて、その前後のつながりや、今回の作品全体の物語の内容についてのコメントは少なく、作品としてどうだったのかという点については全く分かりません。
従って、東日本大震災から問題として風化している部分と、風化させてはいけないという部分、風評被害を煽ってはいけないという部分と、現実についてきちんと目を向けるという、大変なジレンマがある内容でありました。今度も色々と情報を入手したり聞いたりしたりして僕自身の考え方についても見つめたいと思います。
少なくとも、「放射能」や「原発」という文言の危険性について、僕自身も含めて多くの方が「何かわからないけど、とても危ないもの」という程度の認識しかしていないので、その結果、鼻血というインパクトある表現によって騒動が勃発というか炎上していると思います。まずは、この本の内容や放射能について正当な評価をする必要がありそうです。
~追伸~
昨日久しぶりに近くの醒ヶ井養鱒場(さめがいようそんじょう)に遊びに行ってきました。ここでは、ニジマス、アマゴ、イワナ、ニジマスなどの鱒類の養殖を行っており約150万がいます。毎月第3日曜日が無料開放日ということなので、それをめがけてたまに遊びに行きたいです。
施設内にはチョウザメも飼育されていました。